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日外会誌. 102(5): 376-380, 2001


特集

大腸癌肝転移に対する治療戦略-基礎から臨床へ-

3.肝転移形成に及ぼす細胞外基質分解酵素の意義と治療への応用

横浜市立大学 医学部第2外科

市川 靖史 , 石川 孝 , 田中 邦哉 , 渡会 伸治 , 嶋田 絋

I.内容要旨
細胞外基質分解酵素には癌周囲の間質破壊による浸潤促進が知られているが,それ以外にも癌細胞増殖,腫瘍血管新生の促進,免疫担当細胞のapoptosis誘導による転移促進作用が報告されている. しかし本酵素群は免疫担当細胞の癌への侵入を助ける一方,間質中のplasminogenからangiostatinを産生し腫瘍血管新生を抑制することで,転移を抑制するとも言われる.本酵素群が癌の浸潤転移を調節していることは明らかであるが,その機序の詳細はいまだ定かでない.現在細胞外基質分解酵素阻害をすることは,大腸癌肝転移抑制に有効な治療法として期待されており,様々な阻害剤の開発と臨床治験が進められている.

キーワード
MMP, 腫瘍血管新生, MMP 阻害薬


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