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日外会誌. 102(3): 299-302, 2001


特集

外科学-新しい潮流

IV.外科における医療過誤とリスク・マネ一ジメント
2.医療事故への対応と法的解決

慶應義塾大学 医学部外科 TMI総合法律事務所

古川 俊治

I.内容要旨
医療の過程において何らかの人身事故が発生した場合,発生した外面的・客観的事実を出来る限り正確かつ詳細に記録することが重要である.迅速に事故原因を検討し,家族に対し正確で一貫性ある説明を行う.医療過誤による患者の死亡が疑われる場合には,医師には警察署に届ける義務があり,この場合司法解剖が行われるが,それ以外の場合でも死亡原因が明確でない場合には,病理解剖を行っておくことが望ましい.医事紛争の法的解決は,大部分が訴訟外の和解(示談)か訴訟手続でなされる.医師側の過失が明らかな場合には,速やかに患者を救済すべきであり,弁護士の関与の下で示談を成立させることが望ましい.訴訟では,どの段階であっても,両当事者間で解決金額の合意が出来れば和解することができるが(訴訟上の和解),最後まで両当事者が争えば判決による解決となる.医事訴訟は一般に長期の審理期間を要し,第一審の提訴から判決までの期間は平均3年を要する.訴訟長期化の大きな原因は鑑定を引き受ける医師が容易に見つからないことであり,訴訟を短期化して患者・医師双方の負担を軽減するため,医師の側からも積極的に司法と協力していくことが要請される.

キーワード
外科, 医療過誤, 医療事故, リスクマネージメント, 医事訴訟


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