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日外会誌. 102(3): 294-298, 2001


特集

外科学-新しい潮流

IV.外科における医療過誤とリスクマネ一ジメント
1.医療事故をいかに予防するか

癌研究会附属病院 外科

武藤 徹一郎

I.内容要旨
医療事故(アクシデント)を防止するためには,事故に至る前のニアミス(インシデント)の原因を究明してシステムの改善を図ることが重要であり,これらの一連の対処がリスクマネージメントと呼ばれている.このためには,インシデント,アクシデントが正直に報告されることが重要であり,原因究明,対策立案はリスクマネージャー,リスクマネージメント部会が責任を持って行う必要がある.そしてすべての対応は迅速に行われなければならない.インシデントにせよアクシデントにせよ対応は個人を責めるためではなく,予防策を立てるために行うのであるというblame free systemを定着させることが肝要であり,“人は誰でも間違える.しかし,事故は予防することができる”という共通認識を持つことが重要である.
癌研病院で起こった医療事故から得られた教訓から,事故の背景要因として,①医療従事者間のコミュニケーション不足,②事故予防のためのシステムの不備,③日常診療における緊張感の不足,が挙げられた.

キーワード
医療過誤, リスクマネージメント, インシデント, アクシデント, インシデントアクシデントレポート


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