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日外会誌. 101(8): 546-549, 2000


特集

内視鏡外科の基礎と臨床

6.大腸癌の腹腔鏡下手術

1) 自治医科大学大宮医療センター 外科
2) 自治医科大学 消化器一般外科

小西 文雄1) , 小島 正幸2) , 星野 徹1) , 神崎 雅樹1)

I.内容要旨
腹腔鏡補助下大腸切除は,7~8年前から施行されている.一般的な適応は,大腸内視鏡で摘除できない大きな腺腫あるいは早期大腸癌とされている.この術式は低侵襲性で術後の回復が早く,また,美容的にも通常の開腹手術より優れている.一方,大腸進行癌に対して本術式を施行した場合には,開腹手術と同程度の根治性が保たれるか否かという問題がある.我々は,症例を的確に選択すれば開腹手術と同等の十分な範囲のリンパ節郭清を行って根治性のある手術を施行することができると考えている.技術的な問題点としては立体的な把握ができない,視野が十分取れない,触診ができない,止血操作その他の技術面での困難性があること,手技的な習熟に比較的長い期間を要する,手術時間が長い,器材の費用がかかる,などがあげられる.腹腔鏡下大腸切除は,腹腔鏡下胆嚢摘除術と比較すると高度な技術を必要とする.従って,本術式を導入する場合には,腹腔鏡下大腸切除講習会の受講,実際の手術の見学,的確な手術症例の選択,また,一定の外科医のチームを組んで年間少なくと15~20例以上の症例の手術を行う,などの点を心がける必要がある.

キーワード
colorectal carcinoma, laparoscopic-assisted colectomy, lymph node dissection


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