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日外会誌. 101(7): 482-485, 2000


特集

QOLから見た呼吸器外科

2.肺癌の縮小手術-拡大区域切除-

1) 兵庫県立成人病センター 呼吸器外科
2) 住友病院 外科

坪田 紀明1) , 良河 光一2)

I.内容要旨
小型肺癌に対する縮小手術の意義を明らかにする為に以下の検討を行った.1)予後の検討.’92~’94年の多施設問prospective study「径2cm以下の末梢小型肺癌に対する拡大区域切除」に登録された55例と単一施設45例.2)切除標本上径2cm以下腺癌94例,3)縮小手術と胸腔鏡支援下カードサイズ(CS)開胸の肺機能及び手術の質に及ぼす影響.成績.1)死亡は切離線の腫瘍近接による局所再発 1,対側,同側腫瘤 2,遠隔転移 1,他病死 6で原病死の4例による5生率は91%であった.締め切り後も続けられた単一施設の45例には他病死と術後判明の進行癌各2例を認めた.2)野口分類Type A, Bと判定された12例,13%と区域切除が選択されたType Cの中の区切23例,計35例に死亡はない.Type C葉切32例とD, E, F25例の5生率は各々69%,71%である.3)1)の45例中36例に肺機能が検討された.術後4カ月で拡大区域切除群のFVC, FEV1は各々術前値の86%,88%を維持したが,1期葉切群(n=39)は77%,79%となった(p<0.0001).術後2年,前者は各々92%,91%に回復したが,後者は81%,81%に止まった.連続175手術例中のCS開胸92例53%(区切21例を含む)中の葉切60例を標準開胸葉切168例と比較した.前者の手術時間188 ± 49分,出血量241 ± 140mlは後者の各々182 ± 51分,315 ± 252mlに遜色なく,術後の肺機能損失量も△VC(L):0.43 ± 0.36となって後者の0.89 ± 0.43を上回った.
結論.術中精査を伴った小型早期肺癌への拡大区域切除術の予後は良好である.本手術は肺機能も良好に保つので早期肺癌に対する標準手術の1選択肢になりうる.

キーワード
肺癌, 縮小手術, 拡大区域切除, VATS


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