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日外会誌. 101(5): 404-407, 2000


特集

肝門部胆管癌-診断と治療の進歩-

5.肝門部胆管癌:術前門脈塞栓術

信州大学 医学部第1外科

宮川 眞一 , 川崎 誠治

I.内容要旨
肝門部胆管癌では根治性を得るために,尾状葉合併拡大肝右葉切除術あるいは右,左3区域切除術を施行することが多い.このような拡大肝切除術を安全に行うために術前門脈枝塞栓術は有効な方法である.現在までに,塞栓物質は4種類以上報告されており,塞栓効果すなわち非塞栓葉の代償性肥大の程度は塞栓物質によって異なると言われている.門脈枝塞栓術は肝門部胆管癌の根治術をより安全に行うための手段であり,また門脈枝塞栓術が施行されても,開腹所見によっては拡大肝切除が最終的に選択されない症例もあることを考えると,塞栓効果は多少劣ってもより組織反応の少ない塞栓物質を選ぶのがよいという意見と,少しでも大きい残存肝を得るためより組織反応の強いすなわち,塞栓効果の強い物質を使用すべきだという意見があろう.現時点ではその選択は個々の判断に委ねざるを得ない.今後,門脈枝結紮に伴う肝萎縮と非結紮葉の代償性肥大のメカニズムの検討,至適塞栓物質の選択,肝門部胆管癌に及ぼす門脈塞栓術の影響等が検討課題としてあげられる.

キーワード
門脈塞栓術, 肝門部胆管癌, 拡大肝葉切除術


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