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書誌情報]
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日外会誌. 101(5): 399-403, 2000
特集
肝門部胆管癌-診断と治療の進歩-
4.肝門部胆管癌の進展様式
I.内容要旨著者らの経験ならびに全国胆道癌登録の成績から肝門部胆管癌の進展様式の問題について論じた.
過去20年間経験した肝門部胆管切除例は47例である.切除の術式は,肝門部胆管切除が5例,肝門部または中葉切除が21例,肝(拡大)左葉切除術が14例,肝(拡大)右葉切除術が6例,その他が1例である.そのなかで,門脈合併切除が5例に施行され,尾状葉切除は18例,膵頭合併切除が1例に行われている.5年以上生存を3例,12%に認めた.深達度では,mまたはfmにとどまる症例は4例のみであったが,すべてfmであった.26例にse, siへの浸潤をみた.切除断端癌陽性をみてみると,hm
2あるいはdm
2を8例に,em
2を13例にみた.リンパ節転移をみると, D
2以上の郭清例で40例中24例(60%)に転移をみた.ss以上になると高率に神経浸潤がみられ,27例中25例(92.3%)が陽性であった.肝内直接浸潤をみると,hinf
1以上を20例(42.6%)にみた.門脈浸潤(VS
1以上)は14例(29.8%)に認められた.これに対し,肝動脈浸潤の切除例はなかった.Stage別の5年生存は, Stage I 38%, II 20%, III 16%で,IVaやIVbは0%であった.根治度をみてみると,直接死亡を除きCurAは18%であったが,CurBやCは0%であった.
全国胆道癌登録症例に比べると著者らの症例は進行例が多かったが,ともに非治癒切除例が目立ち,同部の癌腫に対する根治切除術式として,肝葉切除,尾状葉切除,門脈切除,リンパ節郭清が重要であると考えられた.
キーワード
肝門部胆管癌, 進展様式, 深達度, リンパ節転移, 断端侵襲
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