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日外会誌. 101(2): 217-222, 2000


特集

膵癌取扱い規約をめぐって

7.膵癌取扱い規約における新しいリンパ節群分類の提案:とくにfirst stationについて

帝京大学 医学部第1外科

天野 穂高 , 高田 忠敬 , 和田 慶太 , 安田 秀喜 , 吉田 雅博 , 山川 泰彦 , 豊田 真之

I.内容要旨
現行規約におけるリンパ節群分類は,第1群においても膵周囲を含めた広範囲のリンパ節を占めており,転移頻度や郭清効果,またリンパの流れを考慮していないところに問題がある.そこで,膵癌全国登録のうち膵頭部の管状腺癌切除例2,449例を対象とし,(1)リンパ節番号別の転移頻度と遠隔成績,(2)第1群(n1)をグループ化した場合のn1転移例での転移頻度および遠隔成績,(3)5年生存例でのリンパ節転移部位について検討した.(1)組織学的リンパ節転移頻度は13が最も高く,次に17であった.ついで第2群に分類される16b1,14aが高率であり,現行規約の分類と実際の転移頻度に不一致を認めた.(2)グループ別の転移頻度は,膵頭後部(13ab)だけの転移が29.4%,膵頭前部(17ab)だけが9.6%,膵頭後部あるいは膵頭前部だけは48%と高率であり,生存率も他のグループより良好であった.(3)5年生存例は56例であり,19例にリンパ節転移を認めた.そのうち膵頭後部あるいは膵頭前部に限局した転移が14例であった.以上の結果より,膵頭後部,膵頭前部は転移頻度,遠隔成績からはfirst stationと考えられ,他のn1をsecond stationとした.また,n2のうち転移頻度の低いリンパ節はthird stationとし,新しいリンパ節群を提案した.自験例を対象とした検討では,新しいリンパ節群分類では各群間の重なりがなくなり,より正確に予後を反映する傾向が考えられ,臨床的に有用な分類であると考えられた

キーワード
pancreatic cancer, lymph node metastasis, lymph node mapping system, Japanese Pancreatic Society, UICC


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