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日外会誌. 99(10): 733-736, 1998


症例報告

脾腫症例に対する術前塞栓療法を併用した腹腔鏡下脾臓摘出術の経験

1) 大阪府立成人病センター 外科
2) 大阪大学 医学部第2外科

小林 省吾1) , 関本 貢嗣2) , 冨田 尚祐2) , 川崎 富夫2) , 有吉 秀夫2) , 門田 守人2)

I.内容要旨
腹腔鏡下脾臓摘出術は脾腫のない症例に対しては今や標準術式となりつつある.しかし脾腫症例に対しては報告も少なくその安全性を懸念する意見も多い.今回,我々は術前脾動脈塞栓療法を併用することにより慢性骨髄性白血病による脾腫症例にたいして腹腔鏡下脾臓摘出術を安全に施行し得たので報告する.症例は37歳男性で内科的治療にも関わらず約20cm長の脾腫が改善せず脾臓を摘出することになった.術直前に出血予防と脾の縮小効果をねらって脾動脈塞栓術を併用した.塞栓術により脾臓は完全に虚血となり術中の被膜損傷による出血をいっさい認めなかった.出血量100ml,摘出脾重量1,100g,手術時間5時間15分,術後の経過は良好であった.
脾動脈塞栓療法を併用することで脾腫症例に対しても安全に腹腔鏡下脾臓摘出術を適応しうるものと考えられた.

キーワード
腹腔鏡下脾臓摘出術, 脾腫, 脾動脈塞栓療法


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