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日外会誌. 99(4): 268-272, 1998


症例報告

横隔膜腫瘍と診断された肺癌肉腫の1切除例

都立荏原病院 外科

藤井 美智子 , 山本 雅一 , 高橋 秀暢 , 伊藤 哲思 , 金 慶一 , 遠藤 昭彦 , 佐藤 正典 , 済陽 高穂

I.内容要旨
症例は64歳男性.右側腹部痛,食欲低下を主訴に1996年7月来院.腹部超音波検査にて肝臓頭側に巨大な腫瘤を指摘され入院.胸腹部CT, MRI,血管造影検査により横隔膜腫瘍と診断.経皮的針生検の結果脂肪肉腫の疑いで,1996年8月腫瘍を摘出.横隔膜,右肺中下葉合併切除.横隔膜はSoft tissue patch(GORETEXTM;厚さ1mm,10×15cm)にて再建した.病理組織所見では,腫瘍のほとんどは肉腫様の組織像であり,一部に術前認められなかった高分化腺癌組織(細気管支肺胞上皮型)が発見され,両者には移行像が認められた.肉腫様の組織はEMA染色,ケラチン染色ともに弱陽性で,いわゆる肺癌肉腫と診断された.特異な画像と組織像を示した肺癌肉腫と考え,ここに報告する.

キーワード
横隔膜腫瘍, 肺癌, 肺癌肉腫


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