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日外会誌. 99(3): 176-181, 1998


特集

外科的栄養の進歩

7.グルタミン,成長ホルモンと外科

東京大学 医学部手術部

齋藤 英昭

I.内容要旨
外科侵襲時の栄養管理の目的は,エネルギー補充や蛋白代謝改善に加えて侵襲生体の転帰を改善することにある.このために新しい栄養管理法が開発されるようになってきた.その代表がグルタミンと成長ホルモンで,これらは蛋白代謝とともに免疫系機能にも影響を与える.とくにグルタミンは従来は非必須アミノ酸とされていたが,侵襲生体ではその需要が亢進し補充しなければ欠乏状態となるため必須アミノ酸になりうる.外科侵襲生体へのこの補充によって窒素平衡の改善や腸粘膜構造の維持,リンパ球とともにマクロファージや好中球の機能亢進がもたらされる.成長ホルモンは術後患者ではその蛋白代謝改善効果は明かであるが,より重篤な敗血症や外傷などではその効果が減弱しうることも報告されている.将来的にはグルタミン,成長ホルモンともに外科侵襲での適応病態や投与時期,投与期間をめぐる検討が必要である.本稿ではこのようなグルタミンと成長ホルモンの蛋白代謝への作用,免疫系への効果について概説した.

キーワード
外科栄養, グルタミン, 成長ホルモン, immunonutrition


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