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日外会誌. 99(3): 154-158, 1998


特集

外科栄養の進歩

3.経腸栄養最近の進歩

東邦大学 医学部第3外科

碓井 貞仁

I.内容要旨
蛋白代謝改善の目的で分岐鎖アミノ酸,中鎖脂肪酸が臨床的に用いられる一方,グルタミンや蛋白合成促進剤(成長ホルモン,Epidermal Growth Factor, EGF)の動物実験がさかんに行われている.とくにグルタミンは腸管粘膜損傷の再生に有用で,bacterial translocationを防止する効果があり,補給の必要があるといわれている.
中鎖脂肪酸は血中からの消失速度が速く,インスリン分泌を刺激しない,網内系の抑制作用が少ない,窒素節約効果が優れている,などの利点があるが,長鎖脂肪酸との配合比をどのようにするかをもう少し検討する必要がある.EPAは動脈硬化,炎症,アレルギーなどに対する有用性が確認されており,脂肪の基質として用いられている.
成長ホルモンは一部の施設ですでに臨床的に用いられているが,普及するまでにはもう少し時間をかける必要がある.
ヌクレオチドも肝再生の促進,免療抑制状態の改善,成長刺激,などの効果があるといわれているが,成長ホルモン同様,市場に登場するまでには至っていない.
在宅中心静脈栄養法,在宅経腸栄養法はともに保険適応となり症例数も漸次増加しているが,指導管理料や特定材料費が適正であるかどうか,薬剤供給のシステム化,両栄養法の併用の問題など検討すべきことが多々あり,今後も医療サイドの意識の改革とともに地道な啓蒙活動を続けていくことが何よりも必要と思われる.

キーワード
経腸栄養法の進歩, 分岐鎖アミノ酸, グルタミン, アルギニン, ω-3系脂肪酸


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