[書誌情報] [全文PDF] (1818KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 99(2): 118-123, 1998


総説

臓器移植による移植片対宿主病
-ドナー側因子とホスト側因子-

自治医科大学 臨床薬理
自治医科大学大宮医療センター 外科

小林 英司

I.内容要旨
臓器移植後の移植片対宿主病(GVHD)の発症は,移植臓器が含有するT細胞の質と量により決まる.また移植操作によるホスト側の免疫能の変化も重要な因子である.臨床の臓器移植によるGVHDの報告を概説した上で,著者らの実験結果をもとにGVHD発症におけるドナー側及びホスト側の因子を解説した.臓器が含有するリンパ球のin vivoにおける反応性を検討すると小腸,脾及び肺移植により致死的GVHDが誘発されたが,肝移植では発症しなかった.レシピエントに開腹,開胸等の手術操作を加えるとGVHDの発症率が上昇した.非致死量の脾リンパ球を移入した際でも,エンドトキシンを同時に投与するとGVHDが助長された.

キーワード
臓器移植, 移植片対宿主病, 手術侵襲, エンドトキシン


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。