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書誌情報]
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日外会誌. 99(1): 52-56, 1998
特集
広範囲熱傷治療の現況
10.特殊熱傷
電撃傷
I.内容要旨電撃傷と一般の熱傷との大きな違いは体内に電流が流れることにあり,したがって体表の熱傷面積ではその重症度は判定出来ないことである.
電撃傷には,皮膚を通して電流が生体に流れることによって生じる損傷(true electrical injury),高電圧へ接近することによって生じる電弧による熱傷(arc burn),電弧や電気花火によって衣服が燃えて生じるframe burnに分類される. true electrical injuryは皮膚への電流の入口,出口となった部分に乾燥した黒褐色調の大小の壊死創(電流斑)を見,その周辺組織は進行性壊死を生じる.全身症状としては体内の通電の状況により心室細動,呼吸停止,意識消失,痙攣発作など受傷直後に一過性に生じる事がある.また,筋肉を含む深部組織の壊死を起こしcrush injuryと同様な病態を呈し,この筋組織の壊死により血中にミオグロビンが放出されるためミオグロビン尿を生じ急性腎不全を発生し易くなる.
治療としては心停止,呼吸停止に対する救急処置とともに,乳酸加リンゲル液による補液を行うが,血液中に流入したミオグロビンをより早急に尿中に排泄させる為にも一般の熱傷の輸液量よりも多めに,成人で毎時80~100ml,あるいは1.5~2ml/hr・kgの尿量を目標に輸液を行う.局所処置は進行性壊死の存在と,通電による腱,筋肉,神経,血管の損傷を考慮にいれ,明らかな3度熱傷部分のデブリードマンは行うものの,進行性壊死を生じるので一期的な再建は行わず2~ 3週間経過を見た後にその部分の修復再建を行う.四肢では切断に至る症例も多いが,早期の減張切開とデブリードマンを行い,その再建に遊離皮弁移植を用いることによって切断を免れる事もある.家庭用の電気器具のソケットを乳幼児が口にくわえて口唇,舌を受傷する特殊なものは保存的治療を原則としている.
キーワード
電撃傷, 電弧, ミオグロビン尿, crush injury
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