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日外会誌. 98(12): 990-995, 1997


特集

最近の新生児外科

3.新生児のECMO治療

神戸大学 医学部第2外科

久野 克也 , 岡田 昌義

I.内容要旨
Exttacorporeal membrane oxygeration(ECMO)は,最近10年間の新生児医療において,もっとも進歩した治療手段の一つである.とくに,新生児呼吸不全に対しては,standardな治療となった.米国の症例集計(Extracorporeal Life Support Organization registry;ELSO registry)では1994年累計10,000例を越え,年間約1,500例の新生児が登録されている.救命率は,約80%で安定した成績が得られるようになった.その間,種々の改良も加えられており,最近のバイパス法は,1本のダブルルーメンカテーテルを使った静脈一静脈(VVDL)ECMOが,静脈一動脈バイパスにとって変わりつつある.また,新しい抗凝固剤や,ヘパリンコーティング回路の導入により,出血に配慮が必要な患児に対しても,ヘパリンを使わないECMOを行うことができるようになった.これらの進歩を背景に適応疾患の拡大や,胎児へのECMOによる人工子宮の研究も行われるようになった.本邦では,現在まで200例余の小児ECMO症例が確認されているが,成績は不良である.年間10数例の新生児症例が追加されているが,これらの症例の詳細な検討がECMO成績の向上につながると考えられる.

キーワード
ECMO, congenital diaphragmatic hernia (CDH), persistent pulmonary hypertension of the newborn (PPHN), artificial placenta


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