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日外会誌. 98(6): 537-541, 1997


特集

胃切除後再建術-特にpouch形成の意義-

3.胃全摘後空腸嚢 (十二指腸側) 間置再建術

1) 慶應義塾大学 医学部外科
2) 慶應義塾大学 内視鏡センター

大谷 吉秀1) , 五十嵐 直喜1) , 藤田 晃司1) , 石川 秀樹1) , 久保田 哲朗1) , 熊井 浩一郎2) , 北島 政樹1)2)

I.内容要旨
教室では胃全摘術後患者のQOL改善を目的として空腸嚢間置再建術を実施している.胃全摘後の再建術では,1)食道から十二指腸,空腸への連続性の維持,2)食道への消化液の逆流防止,3)食物の貯留能の確保と適切な排出が求められる.これらの条件に対してpouch形成術は有用な方法と思われる.その適応は長期生存が期待される症例としている.近年遭遇することが多い高度肥満患者は,腸間膜の処理など手技上の安全面から適応としていない.われわれの術式のポイントは間置空腸の十二指腸側にpouchを作製し,口側の空腸は約20cm,pouch部分は約10cmとしている.辺縁動脈を切らずに空腸に犠牲腸管を作り,空腸脚への血流維持と神経の温存を図っている.術中にpouchの内腔面を観察し縫合線からの出血のないことを確認する.
胃を喪失した患者にとってより生理的な食事習慣を維持することはQOLの向上に重要であり,本術式はその目的にかなうものと思われる.

キーワード
胃癌, 胃全摘術, 代用胃, 空腸間置法, QOL


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