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日外会誌. 98(5): 524-528, 1997


症例報告

ヘパリンコーティング人工心肺回路および側枝付人工血管を用いた解離性胸腹部大動脈瘤切迫破裂の1手術例

1) 現 札幌医科大学 第2外科
2) 日鋼記念病院 心臓血管外科

田中 久史1) , 柳谷 晶仁2) , 数井 暉久1)

I.内容要旨
症例は52歳の男性.解離性胸腹部大動脈瘤切迫破裂の診断で手術を施行した.手術は,ヘパリンコーティング人工心肺回路による部分体外循環,腹部主要4分枝の選択的灌流を補助手段として,側枝付人工血管を用いた胸腹部大動脈置換,肋間動脈(Th 11, 12)および腹部主要4分枝再建を行った.肋間動脈は分節的に再建し,脊髄虚血時間を短縮,また,再建中,Fogarty balloon catheterを挿入し,逆行性出血のコントロールと脊髄灌流圧の低下の防止に努めた.術中,ACTは300秒前後と低値で維持した.術後は,対麻痺,出血などの合併症もなく経過良好で,現在,元気に社会復帰している.

キーワード
解離性胸腹部大動脈瘤, ヘパリンコーティング人工心肺回路, 腹部主要4分枝再建


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