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書誌情報]
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日外会誌. 98(4): 438-442, 1997
特集
炎症性腸疾患の治療における最近の進歩
7.潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法
I.内容要旨薬剤療法が無効な潰瘍性大腸炎(UC)に対し,大腸粘膜を攻撃する細胞間情報伝達を遮断させる目的で,活性化白血球を含めた白血球を直接血液中より除去する白血球除去療法(LCAP)を行った.
本治療の目標は,薬剤抵抗性UCの活動期症状を安定させることと,維持療法時にできるだけ長期に緩解維持させることとした.
対象は,従来の薬剤治療に抵抗を示し,LCAPをpreliminary studyとして施行したUC患者38例とした.
LCAPは,週に1回計5回を初期集中治療とし,約4週(2~6週)に1回を維持療法とした.維持療法は,初期集中治療が有効であった患者にのみ行った.それぞれ1治療当たり約3,000mlの血液を処理し,約1×10
10個の白血球を除去した.治療効果は,1)著効,2)有効,3)不変,4)悪化の4群に分け行った.
初期集中治療後の有効率は,著効8例,有効21例,不変9例で29/38例(76%)であった.維持療法では,現在38例中著効7例を含む26例に継続した効果を認め,有効率は26/38例(68.4%)であった.発症から5年以上の比較的軽症な患者に効果が少ない傾向であったが,悪化症例はなかった.現在維持療法を継続している有効26例に平均約20カ月間継続的な効果が認められ,著効を示した7例はステロイドの投与なしに,平均約2年半緩解を維持している.
もちろん,本治療がUC全例に効果のある治療とは言えず,本治療無効時はステロイドを更に増量する治療より,他の治療,特に手術療法に移行する必要があると思われた.
以上より,LCAPは薬剤治療と手術療法の間に位置する新しい治療法と考えられるが,今後さらに多施設での評価が必要である.
キーワード
体外循環治療, 炎症性腸疾患, 免疫調節, 活性化白血球
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