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日外会誌. 98(1): 68-70, 1997


症例報告

偽りの高TSH血症を伴った甲状腺癌症例

鳥取大学 医学部第2外科

小林 薫 , 前田 啓之 , 本多 祐 , 田中 宜之 , 森 透

I.内容要旨
TSHが異常高値を示した63歳女性の甲状腺乳頭癌症例を経験した.下垂体腫瘍の合併を疑い,画像検査と内分泌検査を行ったが異常を認めなかった.次に,TSH測定系であるtwo-site immullometric assayの異常を考慮した.TSHを他の測定キットを用いて測定したところ,正常値を示した.患者血清にマウスIgGを添加してTSHを測定するとその値は低下した.このため,TSHが高値である原因は患者血清中に存在する物質がTSH測定キットに干渉したために惹起された偽りの高TSH血症であると判断した.甲状腺乳頭癌に対しては手術を施行した.今同TSH測定に際して認められた現象はtwo-site immullometric assay法による測定ではいずれのホルモンにおいても起こりうるので注意すべきである.

キーワード
TSH, two-site immunometric assay, 甲状腺癌


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