[書誌情報] [全文PDF] (2826KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 97(9): 708-715, 1996


特集

外科的侵襲と生体反応

II.外科的侵襲と全身反応
2.サイトカイン

1) 岩手医科大学 医学部高次救急センター
2) 岩手医科大学 細菌学講座
3) 岩手医科大学 第一外科学講座
4) 岩手医科大学 麻酔学講座

遠藤 重厚1) , 稲田 捷也2) , 佐藤 信博3) , 川村 隆枝4)

I.内容要旨
外科的侵襲に対して引き起こされる過剰な生体反応の背景には高サイトカイン血症が存在し,これらの病態をsystemic iiiflan lnatory response syndrome(SIRS)という新しい概念で包括する試みがなされている.すなわちSIRSの本体はサイトカイン血症だと言っても過言ではない.
生体において細胞情報交換を行う主要な液性因子がサイトカインである.サイトカインの作用の多様性は,その多岐に渡る情報伝達経路と,それらの複雑なネットワーク,細胞の状態や種類により伝達される情報の量および質的差によるものと思われる.
生体に多大な侵襲が加わると生体を防御する目的で炎症性サイトカインが産生される.一方では,これを抑制しようとする抑制性サイトカインも産生される.
サイトカインの産生は正および負の調節を受けており,通常は異常な産生は抑制されている.しかし,この調節が崩れ,異常量のサイトカインが産生されると,ARDS,DIC,敗血症,多臓器不全症などに進展する.サイトカインがtriggerとなりphospholipase A2,エイコサノイド,一酸化窒素(NO),endothelin-1,thrombomodulin,好中球エラスターゼ,可溶性接着分子などのsecond mediatorが産生される.
ここでは,手術侵襲,出血性ショック,熱傷,敗血症性ショックなどの外科的侵襲時のサイトカインのついて自験例を中心に述べる.

キーワード
サイトカイン, エンドトキシン, 手術侵襲, 熱傷, ショック

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。