[書誌情報] [全文PDF] (4838KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 97(7): 504-509, 1996


特集

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症の画像診断

金沢医科大学 胸部心臓血管外科

松原 純一

I.内容要旨
閉塞性動脈硬化症に対する種々画像診断法について述べる.
A)無侵襲あるいはほぼ無侵襲的診断法
①超音波ドップラ法を用いて,血管の形態,流速波形および血流音聴取を行う方法は代表的である.形態診断としてよりは,特にカラードップラ法と流速波形で血流動態診断に威力を発揮する.②単純X線写真では動脈壁の石灰化の診断を行う.③2次元X線CTでは,壁の石灰化の存在と程度の診断に適し,造影剤を用いれば内腔の狭窄や閉塞診断が可能である.④3次元X線CTでは大動脈から下腿動脈に到るまでの,いろいろな方向から観察した動脈内腔の立体画像が作成出来る.ゆえに隠れた病変の診断も可能であり,手術のプランニングにも適する.⑤MRアンジオグラフィーを用いれば,臨床上対象となる様な病変は高率に診断可能であり,本法の欠点を知っておれば,スクリーニングとしてあるいは術後の経過観察に有用である.⑥サーモグラフィーは安静時や低温あるいは運動負荷後の皮膚温の変化を見るのに適している.
B)侵襲的方法 ①血管内視鏡は手術時やインターベンショナル治療の効果判定に非常に有用である.②血管内超音波法では血管壁の3層構造を診断出来,①と同様にインターベンショナル治療の効果判定や,内腔の狭窄率測定に適している.
C)放射性同位元素を用いる診断法 放射性Tcなどを使用したアンジオグラフィーは,広範囲の閉塞診断は可能であるが細かい解剖学的診断は不可能である.T1-201を用いて虚血性潰瘍の治癒能力判定や腎筋破行の診断が可能である.
D)最後に,各種方法の利点と欠点を熟知して,複数の方法の結果を総合して診断する事が大切である.

キーワード
閉塞性動脈硬化症, 画像診断, 無侵襲診断法, 侵襲的診断法, RI診断法


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。