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日外会誌. 97(4): 325-329, 1996


症例報告

Carbohydrate antigen 19-9(CA 19-9)
産生性細気管支肺胞上皮癌の1剖検例

岡山済生会総合病院 外科

塩路 康信 , 赤在 義浩 , 高畑 隆臣 , 岡本 康久 , 大原 利憲 , 筒井 信正 , 広瀬 周平 , 片岡 和男

I.内容要旨
75歳女性が食欲不振を主訴に来院し,両肺のびまん性小粒状影と多発性骨転移,血清CA19-9の異常高値を認めた.膵・胆道系を中心に原発巣を検索したが確診は得られず,呼吸不全のため死亡した.剖検により免疫組織化学的にCA19-9産生性細気管支肺胞上皮癌と診断した.
肺癌について血清CA19-9陽性を示す症例は約30%と報告されているが,血清CA19-9が10,000 U/ml以上の異常高値を示す肺癌症例は稀で,本邦報告例は自験例を含め10例のみである.これらは気管支腺粘液産生型の占める割合が大きいが,細気管支領域の関与も重要と考えられ,肺腺癌の細胞構造を考える上で興味深い.

キーワード
CA19-9 産生性肺癌, 気管支腺・細気管支領域における CA19-9 発現局在, 腫瘍細胞内 CA19-9 発現局在

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