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書誌情報]
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日外会誌. 97(4): 297-301, 1996
特集
胃癌外科治療の最近の進歩
組織型に応じた進行胃癌の治療
I.内容要旨胃癌は様々な組織型に分類されているが,大きく分けると分化型胃癌と未分化型胃癌の2つに集約され,それぞれに特有な臨床病理学的特徴を有している.そこで,過去15年間に当教室で根治手術(絶対および相対治癒切除)を施行した進行胃癌282例について,予後に関する多変量解析を行った.その結果,リンパ節転移が予後を規定する重要な因子であることが示された.さらに,再発死亡例についての検討にて,再発形式と有意な相関を認めたのは癌の組織型であり,分化型では血行性転移が,未分化型では腹膜播種を呈することが明らかとなった.
これらの結果に基づき,進行度に応じた適切なリンパ節郭清を行うと同時に,術中に分化型胃癌に対しては経門脈的に,未分化型胃癌に対しては腹腔内にMMCを10mg/body投与し,術後2週目にCDDP50~80mg/bodyを点滴静注する,再発形式を念頭においた組織型別の術中・術後補助化学療法をprospective randomized studyとして行った.その結果,分化型41例における成績では,術中療法施行群(23例)での生存率が良好な傾向を示したが有意差は認めなかった.一方,未分化型70例では術中療法施行群(50例)で有意に生存率が良好であり(g-Wilcoxon p< 0.10,Cox-Mantel p< 0.05,logrank 0.05≦ p< 0.10),この治療法の有効性が示唆された.しかしながら,本治療法における再発症例の検討では,分化型では8例中7例(88%)が肝転移,未分化型では16例中9例(56%)が腹膜播種による再発であり,組織型に特徴的な再発形式に変化は認められなかった.
以上より,進行胃癌に対する癌の組織型に応じた治療法の意義が示されると同時に,より選択性,特異性の高いtype-orientedの集学的治療法の確立が望まれる.
キーワード
進行胃癌, 組織型, 予後因子, 再発形式, 術中化学療法
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