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日外会誌. 97(4): 269-272, 1996


特集

胃癌外科治療の最近の進歩

早期胃癌に対する縮小手術

1) 東京歯科大学市川総合病院 外科
2) 慶應義塾大学 医学部外科
3) 慶應義塾大学病院 内視鏡センター

吉野 肇一1) , 小川 信二1) , 大谷 吉秀2) , 久保田 哲朗2) , 北島 政樹2)3) , 熊井 浩一郎3)

I.内容要旨
早期胃癌,特に粘膜内癌では,リンパ節転移が極めて少なく,認められても原発巣周辺にとどまり,また,原発巣辺縁の肉眼的判定は,固有筋層以深に浸潤がないので,容易である.まれに認められる早期胃癌術後再発のほとんどが,血行性と考えられる形式で,リンパ節・腹膜再発は認められない.一方,粘膜内癌の深達度診断は,術中の触診所見まで含めれば満足すべき状態にある.
このような状況下で,術後QOLや医療経済効率の向上をめざし,1977年より早期胃癌治療に縮小手術を導入した.その内容は,病変の深さや局在に応じて,胃切除・リンパ節郭清範囲の縮小,大網・膵・脾・幽門・迷走神経・下部食道括約筋などの温存,開胸の節約などである.
その成績は,術後生存率・QOLなどからみて,ほぼ,満足できるものであった.

キーワード
胃癌, 手術


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