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日外会誌. 97(1): 27-35, 1996


特集

門脈圧亢進症に対する治療の現況

食道胃静脈瘤の診断

千葉大学 医学部第1内科

松谷 正一 , 丸山 紀史 , 佐藤 悟郎 , 鈴木 利也 , 梅原 敬司 , 税所 宏光

I.内容要旨
食道胃静脈瘤の治療法の進歩に伴って,その診断も従来に比べ,より詳細に行われるようになってきている.食道胃静脈瘤の診断には,内視鏡,血管造影,超音波等多くの診断法が用いられている.なかでも内視鏡は静脈瘤の所見を直接かつ詳細に観察できることから,現在最も重要な診断法となっている.内視鏡による食道胃静脈瘤の評価には改訂された記載基準(1991年)が用いられ,静脈瘤の診療における多彩な状況での評価に対応できるようになっている.血管造影は食道胃静脈瘤と,その基礎疾患となる門脈圧亢進症の病態診断法として有用であるが,さらに,最近では高度な胃静脈瘤や難治性の食道静脈瘤に対する塞栓療法等に用いられ,治療手技としての重要性も増している.静脈瘤や門脈圧亢進症の病態診断は最近では超音波やドプラ法によっても非侵襲的に行うことができるようになってきている.また内視鏡下に行う方法も開発されている.これらの診断法は,将来,食道胃静脈瘤の主要な診断法となることが期待される.それぞれの方法の診断能や特徴を活かして,静脈瘤出血例では出血部位の正確な診断と,それに対する的確な治療を,未出血例では予防的な治療の適応や治療法の選択,また治療例では効果判定や予後の推定を行っていくことは,食道胃静脈瘤の治療成績を向上させる点で極めて重要と言える.

キーワード
門脈圧亢進症, 食道胃静脈瘤, 内視鏡検査, 血管造影, 超音波検査


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