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日外会誌. 97(1): 21-26, 1996


特集

門脈圧亢進症に対する治療の現況

特発性門脈圧亢進症の病因と病態
-免疫疾患としてのIPH-

1) 順天堂大学 医学部第2病理学教室
2) 東京女子医科大学 消化器病センター内科
3) 順天堂大学 医学部第2外科

徳重 克年1)2) , 山内 克巳2) , 林 直諒2) , 二川 俊二3) , 広瀬 幸子1) , 白井 俊一1)

I.内容要旨
特発性門脈圧亢進症(IPH)の由来は,1891年に,Banti1)が「慢性巨大脾腫と貧血を伴って発症し,最終的には,腹水,肝硬変症に至る疾患があり,通常の肝硬変と区別して考えるべきものであり,その原因は脾臓にある」と記載したことに始まる.しかし,これでは,巨脾性肝硬変の一部を含むこととなり,Banti病の独立性に関して多くの議論が重ねられてきた.
一方,我が国では,1975年より厚生省の特定疾患として,特発性門脈圧亢進症調査研究班が発足し,IPHの血行動態,病理所見臨床像などの解明が行われてきた.その結果として,明らかに肝硬変症とは異なる疾患であり,Bantiが最初に唱えたものとは異なり,肝硬変に移行しないことも明らかとなった2).しかし,Bantiが,記載した症例の大部分が非肝硬変例であり,また巨脾の原因が肝硬変にみとめられるような単純な薔血によるものではなく脾臓にあるとしたことは注目に値する.しかし現在では,肝硬変との区別を明瞭にするため,Banti病の名を捨て,IPHで統一されつつある.本項では,最初に簡単にその診断基準,検査所見,病理所見について述べ,次にその病因に関して我々の免疫学的実験結果を踏まえて述べて行くこととする.

キーワード
IPH , 免疫異常, スーパー抗原

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