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日外会誌. 96(2): 88-96, 1995


原著

肝尾状葉胆管枝描出のための3D CT cholangiography の有用性に関する研究

千葉大学 医学部第2外科

篠原 靖志

(1993年6月3日受付)

I.内容要旨
胆管造影CTの3次元画像処理(以下3D CT cholangiography) による,各方向からの胆管立体像を作像し尾状葉胆管枝が最もよく描出される至適作像方向について検討した.尾状葉胆管枝をspiegel葉(Sp),下大静脈部(Pc),尾状突起部(Cp) に区分しそれぞれの分枝の最もよく描出される角度を矢状面内8方向(0゜,30゜,90゜,150゜,180゜,210゜,270゜,330゜)よりの3D CT cholangiographyにて検討した.その結果Sp枝群(104枝)では180゜,210゜,150゜,330゜の順で,Pc枝群(80枝)では180゜,210゜,150゜,330゜,0゜の順で,Cp枝群(67枝)では210゜,180゜,330゜,150゜,0゜の順で描出が良好であった.
画像選択による各症例ごとの全尾状葉枝描出成績は,180゜のみの場合,全尾状葉枝の描出された例数は70例中43例(61.4%),180゜+210゜では,63例(90.0%),180゜+210゜+0゜で65例(92.9%),180゜+ 210゜+330゜で68例(97.1%),180゜+ 210゜+150゜で70例(100%)であった.150゜,180゜,210゜の3方向からの組合せにより全症例の全尾状葉枝の描出が可能であった.これらの胆管像は通常のX線像では得られないものであり,今後胆管癌における尾状葉切除の適応,切除範囲の決定への応用が期待される.

キーワード
尾状葉胆管枝, 胆管造影 CT, 3D CT cholangiography

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