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日外会誌. 96(1): 31-35, 1995


原著

大腸癌の原発巣と肺転移巣の核DNA量の解析

1) 国立療養所沖縄病院 外科
2) 国立病院九州がんセンター 外科

久田 友治1) , 友田 博次2) , 原 信之2) , 一瀬 幸人2) , 古澤 元之助2) , 大田 満夫2)

(1992年6月1日受付)

I.内容要旨
切除された大腸癌の原発巣と肺転移巣の核DNA量をフローサイトメトリーで測定し,その意義を検討した.原発巣14例のうちdiploidyは5例,aneuploidyは9例であった.一方,肺転移巣では19病巣のうちdiploidyが12病巣,aneuploidyが7病巣であり,転移巣ではdiploidyが多かった.原発巣のDIの平均は1.4 ± 0.4,転移巣のDIの平均は1.2 ± 0.2であり,転移巣でDIが小さい傾向にあった(p=0.08).原発巣と転移巣のploidy patternの組み合わせを肺転移19病巣の側からみると,両者でploidy patternが同ーであった場合が11組と一番多く,転移巣がaneuploidyで原発巣がdiploidyの場合が1組,転移巣がdiploidyで原発巣がaneuploidyの場合が7組であった.転移巣手術日からの4年生存率は転移巣がdiploidyの時に良好な傾向にあったが,有意の差ではなかった.以上のことより,大腸癌肺転移巣に対し手術適応となるような症例について,核DNA量の観点から見ると,その肺転移巣では,生物学的に悪性度の低いとされるdiploidyが多いと考えられた.また原発巣と肺転移巣の間のploidy patternの組み合わせは多様であるが,ploidyの一致するものが多かった

キーワード
大腸癌, 肝転移, DNA ploidy pattern, DNA index


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