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日外会誌. 95(12): 887-892, 1994


原著

術後病期 I,II乳癌に対する標準術式としての乳頭温存術式(Glt+Ax)

1) 和歌山県立医科大学附属紀北分院 外科
2) 和歌山県立医科大学 胸部外科

尾浦 正二1) , 櫻井 武雄1) , 吉村 吾郎1) , 玉置 剛司1) , 梅村 定司1) , 内藤 泰顕2) , 鈴間 孝臣2)

(1993年8月6日受付)

I.内容要旨
目的:術後病期I,II乳癌に対して乳頭温存術式(以下温存術式)を施行した症例の治療成績を乳房切除術式(以下切除術式)施行例と比較検討し,温存術式の標準術式としての意義を検討した.対象症例:温存術式群が299例(I期244例,II期55例)で切除術式群が194例(I期124例,II期70例).治療成績:1)I期症例の5年/10年生存率:温存術式群99%/96%,切除術式群95%/89%.2) I期症例の5年/10年局所健存率;温存術式群96%/94%,切除術式群99%/98%.3) II期症例の5年/10年生存率;温存術式群88%/59%,切除術式群85%/77%.4) II期症例の5年/8年局所健存率;温存術式群84%/84%,切除術式群86%/82%.結論:I期乳癌に於いては,生存率および局所健存率のいずれに於いても温存術式は,切除術式と同等の成績であり,II期乳癌に於いては生存率が温存術式群で若干不良な傾向がみられたが局所健存率は両群ともほぼ同等の成績であった.以上より少なくとも局所制御という点から見た場合,温存術式は術後病期I,II乳癌の標準術式になり得るものと思われる.

キーワード
乳頭温存術式, Glt+Ax, 標準術式, I , II期乳癌


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