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日外会誌. 95(9): 678-688, 1994


原著

ヌードマウス移植ヒト膵癌細胞に対する LAK 細胞および BRM の増殖抑制効果の検討

東北大学 医学部第1外科

浅野 晴彦 , 小針 雅男 , 遊佐 透 , 川上 一岳 , 松野 正紀

(1993年5月11日受付)

I.内容要旨
ヌードマウス移植ヒト膵癌細胞に対するヌードマウス由来LAK細胞の増殖抑制効果を検討した.
LAK細胞はヌードマウス脾細胞をrlL-2 700JRU/mlで刺激培養して得た.NK活性,LAK活性,ヒト膵癌細胞障害活性はそれぞれYAC-1,EL-4,ヒト膵癌培養細胞PK-1およびPK-9を標的とし,4時間の51Cr遊離試験により測定した.NK活性,LAK活性,膵癌細胞障害活性はrIL-2刺激1日目よりそれぞれ培養前値21.9±16.5%,3.7±4.5%,PK-1:7.93±4.5%,PK-9:2.05±1.1%に比べ82.3±13.4%,70.5±3.1%,PK-1:51.3±6.0%,PK-9:33.3±2.97%と高値(p<0.01)を示し,7日間持続した.
ヒト膵癌細胞増殖抑制効果は,ヒト膵癌細胞PK-1を,LAK細胞と混合してヌードマウスの皮下に接種し,その増殖抑制率で比較検討した(Winn試験).rIL-2 700JRU/ml 7日間刺激で得られたLAK細胞とPK-1細胞のE/T比20の混合接種群で,接種後20日目に対照群に対して97.53±1.44%と高い(p<0.01)ヒト膵癌増殖抑制効果が得られた.
次にOK-432およびrlL-2をヌードマウスの腹腔内に投与した際の細胞障害活性を測定した.腹腔内投与時のヌードマウス脾細胞のNK活性,LAK活性,ヒト膵癌細胞障害活性はOK-432で40.0%,12.14%,20.7%,8.05%,rlL-2で66.3%,22.4%,16.9%,11.6%と高値(p<0.05)を示した.
LAK細胞はヒト膵癌細胞に対して細胞障害活性のみならず増殖抑制効果を示し,この膵癌細胞障害活性はBRM投与によっても誘導し得た.以上からLAK細胞とBRMの併内投与により,膵癌に対してもLAK養子免疫療法の可能性があるものと考えられた.

キーワード
recombinant interleukin 2 (rIL-2), biological response modifier (BRM), lymphokine activated killer(LAK)養子免疫療法, 膵癌


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