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日外会誌. 95(9): 655-661, 1994


原著

DMH誘発ラット実験大腸癌モデルに対するOK-432経口投与の発癌抑制効果について

昭和大学 医学部外科学教室

保田 尚邦 , 渋沢 三喜 , 角田 明良 , 中尾 健太郎 , 吉沢 太人 , 小松 信男 , 草野 満夫

(1993年4月27日受付)

I.内容要旨
DMH誘発ラット実験大腸癌モデルを用い,DMH投与開始と同時にOK-432 2.0KE/ml経口投与を開始し,その発癌抑制効果について,免疫学的,病理学的,生化学的に検討した.さらにS-DラットにおけるOK-432経口投与後の経時的な免疫賦活効果について検討を加えた.
対象としてS-Dラットを用い,コントロール群,DMH群,OK-432群,DMH+OK-432群の4群とした.
その結果,DMH+OK-432群では発生腫瘍数が53個(n=31),DMH群では215個(n=31)であり,1個体当りの平均発生腫瘍数では,それぞれ1.7±1.4個(mean±SD),7.0±3.4個とDMH+OK-432群で有意に減少していた(p<0.01).組織学的深達度mの癌がDMH+OK-432群に多くみられた(p<0.01).さらに最大腫瘍径においてもDMH+OK-432群で小さい傾向がみられた.
経時的に測定した脾リンパ球および大腸所属リンパ節リンパ球のNK活性はOK-432経口投与1日後,3日後に各々最大値を示し,その後はコントロール群よりも低下し,免疫能の低下する時期が存在することがうかがわれた.
以上より,DMH誘発ラット実験大腸癌モデルにおいて的確なOK-432経口投与をすることにより,良好な発癌抑制効果が得られることが認められた.OK-432の経口投与法は,大腸における発癌,またリンパ節再発を始めとする再発予防に,有効である可能性が示唆された.

キーワード
発癌抑制, OK-432経口投与, DMH 誘発ラット大腸癌, NK 活性, 大腸粘膜 ODC 活性


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