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日外会誌. 94(12): 1305-1308, 1993


症例報告

生体腎移植後に発生したサイトメガロウイルス感染性肝炎及び腎症の1症例

国立岡山病院 外科

田中 信一郎 , 藤岡 正浩 , 佐々木 澄治

(1992年8月24日受付)

I.内容要旨
サイトメガロウイルス(CMV)感染は腎移植における合併症の一つとして重要な課題である.今回,我々は生体腎移植後に発症したCMV感染性肝炎および腎症を経験した. 患者はsystemic lupuserythematosis (SLE)を原疾患に持つ.母親よりの生体腎移植症例である.術後,拒絶反応もなく順調に経過していたが35日目より熱発し, ウイルス学的検査によりCMV感染による肝・腎機能異常と診断された.この症例においては術前より長期間プレドニゾロンを服用して免疫抑制状態にあり,移植後の抑制剤の追加により易感染性を増強し, またドナーよりの持ち込み感染のために発生したと考えられる. CMVに対する治療は抗CMV抗体高力価ガンマグロブリンを最初に用いたが効果なく,抗CMV化学療法剤のガンシクロビルを10mg/kg/dayの用量で13日間連続投与することにより移植腎機能が悪化することなく軽快した.

キーワード
腎移植, CMV 感染, ガンシクロビル


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