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日外会誌. 94(11): 1201-1208, 1993


原著

III, IV期胸腺腫及び胸腺癌の手術遠隔成績
-特に大静脈浸潤例について-

国立療養所東京病院 外科
*) 自治医科大学 胸部外科

福島 鼎 , 大原 務*) , 山口 勉*) , 武 彰*) , 上沢 修*) , 蘇原 泰則*) , 長谷川 嗣夫*)

(1992年9月8日受付)

I.内容要旨
臨床病期III, IV期胸腺腫及び胸腺癌24例の手術遠隔成績を大静脈(上大静脈,腕頭静脈)浸潤例を中心に検討した. III期14例(胸腺癌3例), IV期10例(胸腺癌4例)で,大静脈浸潤12例,上大静脈症候群7例であった. III期では大静脈浸潤9例中全摘6例,亜全摘2例,試験開胸1例であった. 4例が健在,重症筋無力症死1例で,腫瘍死4例中3例が内膜浸潤例であった.また大静脈非浸潤5例全例に全摘が行われ, 4例が生存し腫瘍死はなかった. IV期ではIVb期3例が大静脈浸潤例で,部分切除2例,放射線療法単独1例であり, 1例は担癌生存中, 2例は腫瘍死した.また,非浸潤7例中4例が生存し,他病死2例,腫瘍死1例であった. III期, IV期症例の予後は大静脈非浸潤例及び外膜浸潤例では良好であったが,内膜浸潤例の予後は不良で腫瘍死が多かった.特に上大静脈症候群では不良であり,全摘1例のみが長期生存した.

キーワード
浸潤型胸腺腫, 胸腺癌, 大静脈浸潤, 上大静脈症候群, 手術遠隔成績


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