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日外会誌. 94(6): 615-620, 1993


原著

乳癌患者末梢血リンパ球サブセットの変動と各種予後因子の関連性の検討

聖マリアンナ医科大学東横病院 外科
*) 聖マリアンナ医科大学 第1外科

横瀬 裕義 , 小森山 広幸 , 赤石 治 , 森久保 雅道 , 山中 豊太 , 山口 晋 , 片山 憲恃*)

(1992年2月7日受付)

I.内容要旨
乳癌患者末梢血のリンパ球サブセットおよびIL-2R (p55/Tac) を術前・術後長期間測定し, carcinoembryonic antigen (CEA), 腫瘍細胞核DNA量, 肉眼的進行度, 脈管侵襲との関連性および予後因子, 再発徴候因子としての可能性を検討した.乳癌患者末梢血を術前, 術後1~ 6カ月に採血し, CD3, 4, 8および25をsingle color flowcytometryを用いて測定し, 以下の結果を得た. 1) CD3, 4, 8は術前術後に有意な変動を認めず, 術後6カ月まで分画は維持されていた. 2)IL-2Rでは, ①乳癌再発群は乳腺良性疾患患者群に比較して有意に低値を示した.②術前IL-2R値において, ( i)Stage III群はStage I群およびStage II群に比較して有意に低値を示していた, ( ii)核DNA量がaneuploidyの群はdiploidyの群に比較して有意に低値を示していた, ③術後6カ月目ではStage III群, ly陽性群, v陽性群, aneuploidy群いずれも乳腺良性疾患患者群と同程度の値を示していた, ④術前のCEA値と術前のIL-2R値には相関を認めなかった.以上の結果より術前のIL-2R値とStageおよび腫瘍細胞核DNA量のploidy patternには相関が認められ, 術前のIL-2R値は予後判定因子の1つに成り得る可能性が示唆された.また, 術後IL-2R値が2.8以下になった場合, 再発が疑われ, 術後のIL-2R値は再発徴侯因子の1つに成り得る可能性が示唆された.

キーワード
乳癌, リンパ球サブセット, 細胞性免疫能, IL-2 receptor, DNA

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