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日外会誌. 94(4): 359-365, 1993


原著

5cm以下の肝細胞癌に対してマイクロ波凝固壊死療法を行った21例の検討

1) 久留米大学 医学部第2外科
2) 国立久留米病院 外科

才津 秀樹1) , 馬田 裕二 , 谷脇 智 , 奥田 康司 , 中山 和道 , 大石 喜六 , 吉田 晃治2)

(1991年11月6日受付)

I.内容要旨
5cm以下の肝細胞癌21例に対して, マイクロ波凝固壊死療法を行い, 以下の結果を得た. 1)術後1ヵ月目のCTでは, 治療部は一回り拡大して, 著しくlow density areaに陥り, 全くenhanceされなかった.そして, このlow density areaは経過と共に縮小し, 術後1年を過ぎると約半数の症例で消失し, 残りは境界部に厚い被膜を形成し残存した. 2)再発は5例(23.8%), 1例が術後1年6ヵ月で再発死亡したが, 残りの20例は最長3年2ヵ月を筆頭に生存中である. 3)術後, T.B, GOTは肝切除例とほぼ同じ推移を示したが, HPT, PTはほとんど低下することなく安全域で推移したことから, 外科侵襲は肝切除より少ないものと考えられた. 4)合併症は腎不全傾向を2例に認めただけで, 特に重篤な合併症は認められず, 安全な治療法と考えられた.

キーワード
小肝細胞癌の治療, マイクロ波, microwave tissue coagulator, 凝固壊死, 温熱療法


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