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日外会誌. 94(1): 21-26, 1993
原著
胃髄様型低分化腺癌の免疫組織学的検討
I.内容要旨胃癌低分化腺癌の中でも特異な転移様式をもつ胃髄様型低分化腺癌の腫瘍病理学的性格を明らかにする目的で, 胃髄様型低分化腺癌28例, 胃高分化・中分化型腺癌21例, 胃硬性型低分化腺癌19例および正常胃上皮28例に関して, 血液型関連抗原(Lewis
a, Lewis
b, Lewis
x, Lewis
y)•CEA• AFP• NSEの発現を検討するために各免疫組織染色を行い, 以下の結論を得た.
1.胃正常粘膜腺窩上皮ではLe
a, Le
bの1型糖鎖抗原が, 深部胃腺管ではLe
x, Le
yの2型糖鎖抗原が発現しており, これらの抗原が正常胃上皮における分化抗原として何らかの意義を持つことが示唆された.
2.髄様型胃低分化腺癌および硬性型胃低分化腺癌ではLe
x, Le
yの発現が高度であり, 深部胃腺管上皮との関連が示唆された.
3.髄様型胃低分化腺癌のLe
a, Le
bに対する陽性率は, 高中分化型腺癌と硬性型胃低分化腺癌のほぼ中間の値, もしくは高中分化型腺癌と同等の値を示し, 抗原発現の観点からは硬性型胃低分化腺癌と比較してより分化度の高い腫瘍の性格を持っていることが明らかになった.
4.髄様型胃低分化腺癌では, CEA, NSE, AFPによる亜分類の可能性があると思われ, 特にCEA腸性症例は分化型腺癌の性格に近いものと思われた.
キーワード
胃髄様型低分化腺癌, 血液型関連糖鎖抗原, CEA, AFP, NSE
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