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書誌情報]
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日外会誌. 93(6): 639-645, 1992
原著
大動脈弁位機械弁,僧帽弁位Porcine弁種選択の評価と反省
-13年間の遠隔臨床成績の検討から-
I.内容要旨人工弁置換術後の重大な合併症の一つである血栓症を重要視し,多いとされる僧帽弁位にはPorcine弁を,少ないとされる大動脈弁位には原則として機械弁を用いてきた方針を,長期遠隔臨床成績の分析から評価し, この方針の今後の展望について検討した.
対象は1977年5月から1990年11月までに本院で大動脈弁位に機械弁,僧帽弁位にPorcine弁で弁置換術を受けた148例中,30日以内の手術死を除く131例(88.5%)である.
弁由来合併症(血栓症(血栓塞栓症,血栓弁),人工弁惑染,抗凝固療法関連出血,PTF,溶血性貧血),弁起因死亡の発生頻度,event free rate,遠隔死因および累積生存率についてはAVR耐術例63例およびMVR耐術例48例について,Porcine弁のPTFについては合併手術を含めた68例についてevent free rateを,さらに年齢囚子の関与の有無について50歳以上と49歳以下に分けて同様の検討を行った.再弁置換event freeについてはAVR 63例とMVR 68例について検討した.遠関追跡率はAVR 96.8%, MVR 97.9%, Porcine弁全例98.5%,累積追跡期間はそれぞれ335.4, 220.1, 298.9患者・年であった.
累積生存率は11年でAVR 68±10%, MVRは13年で67±15%,弁起因死亡event freeは8年でAVR93±5%, MVR 98±2%で有意差(p<0.05)を認めるも11年ではそれぞれ93±5 %, 86±11%で有意差はなかった.弁由来全合併症のevent freeは11年でAVRの76±8%に比べMVRでは34±31%と有意(p<0.01)に低値を示した.Porcine弁のPTF event freeは7年で83±9 %, 10年で61±25%, 13年で49±31%に低下した.これを50歳で分けた比較では8年で以上の100%にくらべ49歳以下では62±19%と有意差を認めるも9年以降有意差はなかった.再弁置換event freeは11年でAVR 94±5%とMVRの76±11%に比べ有意に良好であった.MVRでは13年で51±39%に低下した.以上よりAVRについては従来通りの方針とし,MVRについては限られた症例にのみ用いる方針とした.
キーワード
大動脈弁置換術, 僧帽弁置換術, 機械弁, Porcine弁, 再弁置換術
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