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日外会誌. 93(4): 388-392, 1992


原著

Ki-67を用いたflow cytometryによる胃癌の増殖活性の検討

金沢大学 医学部第2外科

木村 寛伸 , 米村 豊 , 大山 繁和 , 鎌田 徹 , 山口 明夫 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(1991年2月7日受付)

I.内容要旨
モノクローナル抗体Ki-67を用いてflow cytometryにて3種の消化器癌培養細胞株(Colo320, NUGC4, MKN28)および胃癌新鮮標本のgrowth fractionの計測を行った. S期細胞のFITC標識最下点のchannel numberよりcut off lineを設定しKi67-DNAのtwo parameter標示にてKi-67 labeling rateを算出し,培養細胞に対してはBrdUrdによるS期細胞との比較を,また胃癌新鮮標本に対してはKi-67免疫組織染色で得られた陽性細胞率との比較を行った.培養細胞におけるKi-67によるS期細胞の割合は, S0細胞が多いほど抗BrdUrd抗体にて得られた割合より大きな値を示した.また胃癌新鮮標本32症例のKi-67 labeling rateの平均は45.1%(16.2~66.3%)で,免疫組織染色で得られたKi-67陽性細胞率と有意な相関を認めた.以上より,臨床症例においてBrdUrdの投与が制限される現状では,客観性のあるflow cytometryによるKi-67の増殖活性の検討は悪性腫瘍の細胞動態を解析する上で有用な手段だと考えられた.

キーワード
Ki-67, BrdUrd, flow cytometry, 増殖活性, 胃癌

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