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書誌情報]
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日外会誌. 93(2): 128-132, 1992
原著
胃癌手術における脾動脈幹周囲リンパ節郭清
-膵合併切除と脾動脈合併切除による膵温存手術の比較-
I.内容要旨胃癌切除術における脾動脈幹周囲リンパ節郭清の郭清法別の治療成績,特に膵合併切除術式 (pancreatico-splenectomy : PS群) と脾動脈合併切除を伴ういわゆる膵温存術式(pancreaspreservingoperation : PP群)の成績を retrospectiveに比較検討した.
1977年より1988年までの12年間に国立がんセンター病院にて,全摘あるいは噴門側切除が行われた進行胃癌症例は,絶対非治癒切除例を除くと465例であった.このうちのPS群182例とPP群123例を対象とした.
PS群182例の累積5年生存率32.0%に対し, PP群123例は62.0%と好成績であった (p<0.05).ステージ別にみた5生率もステージI,II,IIIでPP群の成績が良好で,ステージIIIのPS群86例で31.3%,PP群68例が59.0%と有意差を認めた.ステージIVでは,PS群69例で26.5%,PP群22例が24.9%と差を認めなかった.
脾動脈幹周囲リンパ節組織学的転移腸性例について検討すると, PP群の5生例は13例中3例で5生率32.7%に対し, PS群は46例中5生例は2例で,5生率は9.2%と膵温存手術の成績が良好であった.肉眼的有転移例の多くが膵合併切除術を施行されている背景因子の差はあるが,膵温存術式の成績は良好であり,膵脾合併切除術後の膵液瘻,横隔膜下膿瘍の増加,糖尿病の発生,増悪などのquality of lifeを考えると有用な術式と考えられた.
予防的に脾動脈周囲リンパ節郭清が必要な症例に対して試みてよい術式と考える.
キーワード
胃癌手術, 脾動脈幹周囲リンパ節郭清, 膵脾合併切除, 膵温存手術
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