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書誌情報]
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日外会誌. 92(10): 1524-1527, 1991
症例報告
左側下大静脈を伴った破裂性腹部大動脈瘤の一治験例
I.内容要旨左側下大静脈に破裂性腹部大動脈瘤を合併した極めて稀な症例の一治験例を報告した.68歳の男性がショック状態で来院,CT検査で破裂性腹部大動脈瘤と診断され,同時に左側下大静脈が認められた.発症後約3時間で緊急手術を施行した.開腹後直ちに腹腔動脈上部で大動脈を遮断し血圧の回復を計った.下大静脈は腎動脈起始部で大動脈の前方を右側から左側へと横切り,血腫により圧排された左側下大静脈が認められた.大動脈瘤破裂孔は左側後壁にあった.腎動脈下部に遮断鉗子をかけ直しダクロン人工血管置換術を行った.術後の経過は順調で術後27日目に元気に退院した.社会の高齢化に伴い外科治療の対象となる大動脈瘤も増加傾向にある.これに伴い稀な大静脈の奇形に遭遇する機会もあることを念頭におき,緊急時でもCT検査,超音波検査を積極的に行うことが重要である.
キーワード
左側下大静脈, 破裂性腹部大動脈瘤
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