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日外会誌. 92(8): 1031-1034, 1991


症例報告

CABG 後の MRSA による縦隔炎に,大胸筋を用いて Delayed Closure を行った1例

順天堂大学 医学部胸部外科

笹栗 志朗 , 弘岡 泰正 , 細田 泰之 , 山本 一貴 , 田原 稔 , 川崎 志保理

(1990年8月23日受付)

I.内容要旨
陳旧性心筋梗塞の既往をもつ労作性狭心症の74歳男性に,4枝冠動脈バイパス術を施行した.術後,MRSAによる縦隔炎,敗血症を併発し,胸骨を開放,膿瘍誘導術を行った.その後,不良肉芽掻爬,抗生剤,ポビドンヨードによる洗浄を繰り返し,術後4ヵ月目に菌が陰転化したため,胸骨哆開欠損部に両側大胸筋を充塡し,創を閉鎖した.術後は,大胸筋機能障害を残すこともなく治癒した.本法は,CABG手術に併発した縦隔炎後の正中創の再建にあたって,グラフト損傷の危険のある胸骨の剥離をすることなく欠損部を充塡でき,安定した前胸壁の再建に有効な方法と考えられた.

キーワード
CABG, MRSA, 縦隔炎, 大胸筋移植


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