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日外会誌. 92(7): 885-888, 1991


症例報告

食道に発生した巨大な脂肪肉腫の1例

日本医大付属多摩永山病院 外科
*) 日本医大付属多摩永山病院 病理
**) 日本医科大学 第1外科

増森 興治 , 吉岡 正智 , 田中 洋介 , 内田 英二 , 樋口 勝美 , 前田 昭太郎*) , 恩田 昌彦**)

(1990年7月26日受付)

I.内容要旨
本邦初めてと思われる食道脂肪肉腫の1例を報告する.症例は46歳,女性.口腔外腫瘤吐出を主訴として来院.上部消化管造影,食道内視鏡検査により,食道の巨大なポリープ様腫瘤が認められた.腫瘤は食道入口部直下前壁から生じ,長さ約16cm,有茎性のもので,表面は正常の食道粘膜で覆われ,先端に軽度の発赤,びらんが認められた.手術は腫瘤先進部を口腔外に脱出,牽引し,起始部にて結紮切除した.摘出標本は11×4×3cmの弾性,軟,割面は黄色均一,分葉化し,肉眼的には脂肪腫であったが,病理組織検査では幅の広い結合織性中隔を有する成熟脂肪細胞に加えて,蜘蛛の巣様の胞体からなる異型脂肪芽細胞が多数みられ,高分化型脂肪肉腫と診断された.術後2年を経過した現在,再発の兆候は全くみられない.

キーワード
食道脂肪肉腫, 非上皮性悪性腫瘍


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