[書誌情報] [全文PDF] (2428KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 92(7): 807-812, 1991


原著

画像解析装置による食道表在癌の癌細胞の核の面積,形状因子および DNA 量の計測 : リンパ節転移との関連について

*) 岩手医科大学 医学部病理学第2講座
**) 岩手医科大学 医学部外科学第1講座

前沢 千早*,**) , 田村 元*) , 門間 信博*) , 里舘 良一*) , 石田 薫**) , 斎藤 和好**)

(1990年7月17日受付)

I.内容要旨
画像解析装置を用いて,食道表在癌23例(リンパ節転移陽性群,11例:リンパ節転移陰性群,12例)の切除組織について,癌細胞の核の面積(nuclear area,以下NA),形状因子(nuclear shape factor,以下NSF), DNA量(以下DNA)を定量的に計測し,リンパ節転移との関連について検討した. さらに,生検材料を用いた計測値からリンパ節転移の有無との関係を検討した.
リンパ節転移の認められる群では転移の認められない群に比較してNA, DNAとも高値を示した(NA;p<0.01,DNA;p<0.05). NSFはリンパ節転移の認められる群で低値を示す傾向がみられたが有意差はなかった.
切除組織のNAとDNAの二つの計測値を用いた判別分析では,判別関数z=0.238×NA+0.475×DNA-11.9により87.0%の確率で,リンパ節転移の有無の判別が可能であった.
7例の生検組織について,上記の判別関数に計測値を代入し,術前にリソバ節転移の有無を予測し得るかどうかをretrospectiveに検討したところ,計算値からの予測と実際のリンパ節転移の有無は7例全例で合致した.
以上の結果から,食道表在癌の癌細胞のNAとDNAは,リンパ節転移と密接に関連していることがしられ,生検材料からも術前にリンパ節転移の有無を予測し得る可能性が示された.

キーワード
食道表在癌, リンパ節転移, 画像解析, DNA


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。