[書誌情報] [全文PDF] (3636KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 92(6): 716-721, 1991


原著

胆道癌,膵癌における胆汁 CEA 値,胆汁 CA19-9 値および胆汁細胞診の診断的意義

社会保険中京病院 外科
*) 社会保険中京病院 臨床病理
**) 大同病院 外科

松田 真佐男 , 清水 泰博 , 近松 英二 , 高柳 和男 , 石榑 秀勝 , 村上 栄*) , 小谷 勝祥**)

(1990年7月7日受付)

I.内容要旨
膵,胆道癌の術前補助診断法としての胆汁CEA値,胆汁CA19-9値および胆汁細胞診の臨床的有用性を検討した.対象症例は良性胆道疾患343例と胆管癌25例,胆嚢癌22例,膵癌24例の悪性疾患71例である.
胆汁CEA値におけるcut off値を胆嚢胆汁500ng/ml,胆管胆汁40ng/mlと設定すると,悪性疾患における陽性率は胆管癌で50.0%(11/22),胆嚢癌60.0%(12/20),膵癌23.8%(5/21)であり,良性疾患における偽陽性率は1.2%(4/343)と低値であった.胆汁CA19-9値においては,良性・悪性疾患群の間に適当なcut off値を設定することができず,悪性疾患の診断における有用性を認めなかった.胆汁細胞診においてclass IV以上の陽性を示した率は胆管癌52.2%(12/23),胆嚢癌40.0%(6/15),膵癌27.3%(6/22)であり,この期間中他疾患も含め細胞診検査における偽陽性例はなかった.胆汁CEA値と胆汁細胞診の併用による陽性率は胆管癌68.0%(17/25),胆嚢癌77.3%(17/22),膵癌37.5%(9/24),悪性疾患全体では60.6%(43/71)であった.また,偽陽性率は1.2%と非常に低いものであった.
胆汁CEA値と胆汁細胞診の併用検査は,陽性率は十分とは言えないが,偽陽性率は非常に低いものであり,特に胆道癌における術前補助診断法としての有用性は高い.

キーワード
胆汁 CEA, 胆汁 CA19-9, 胆汁細胞診, 胆囊癌, 胆管癌

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。