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日外会誌. 92(6): 689-696, 1991


原著

閉塞性黄疸解除後の肝切除後肝再生と肝蛋白合成能に関する検討

千葉大学 医学部第1外科

木村 文夫 , 宮崎 勝 , 宇田川 郁夫 , 越川 尚男 , 海保 隆 , 松本 潤 , 奥井 勝二

(1990年6月21日受付)

I.内容要旨
閉塞性黄疸(閉黄)における,減黄後の肝切除後再生について,肝DNA合成能,肝蛋白合成能,肝ミトコンドリア機能の面より検討した.
Wistar系雄性ラットを用い,エーテル麻酔下に開腹し,胆管結紮により閉黄ラットを作製した.5日,14日,2群の閉黄期間を設け,胆管十二指腸痩により閉塞を解除した.解除後0から40日の各時点で68%肝部分切除を施行し,(1)3H-thymidineの取り込みによる再生肝DNA合成能,(2)14C-leucineの取り込みによる肝細胞性蛋白合成能(HPS)および肝分泌蛋白合成能(SPS),(3)肝ミトコンドリア分画のin vitroでのphospholipase A2添加によるMt-Swellingについて検討し以下の結果を得た. 
(1)DNA合成能は,閉黄時に著明に抑制され,閉黄解除後もその抑制は遷延した.
(2)HPS,SPSは共に閉黄時著明に充進し,閉黄解除後も,その亢進は遷延し,回復には長期間を要した.また,肝切除前後の肝蛋白合成能の変化⊿HPS,⊿SPSは,正常肝に比して閉黄肝で抑制を示した.
(3)Mt-Swellingは,正常肝と閉黄肝で差異を認められなかった.
以上より,閉黄肝では,肝蛋白合成能の亢進が減黄後も長期間遷延し,このことが閉黄肝の肝切除後再生抑制の要因と考えられた.

キーワード
閉塞性黄疸, 肝切除後肝再生, 肝 DNA 合成能, 肝蛋白合成能, ミトコンドリア機能


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