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日外会誌. 92(5): 611-613, 1991


症例報告

股関節包と繋がりをもつ外腸骨動脈外膜囊腫の1例

国立南九州中央病院 外科・心臓血管外科

田畑 伝次郎 , 有川 和宏 , 梅林 雄介 , 帖佐 信行 , 金城 玉洋 , 西田 聖剛

(1990年5月8日受付)

I.内容要旨
動脈外膜嚢腫のために下肢の血行障害を生じた報告例は少ない.動脈外膜嚢腫の発生部位は,膝窩動脈が殆どであり外腸骨動脈がそれに継ぐ.著者らの施設を喫煙歴など動脈硬化症の危険因子の無い47歳の女性が,左下肢の間歇性跛行を訴えて来院した.動脈造影を行った所,外腸骨動脈に周囲から圧迫された様な狭窄が見られた.血行再建の目的で狭窄部を切開露出した所,外腸骨動脈壁に密着したゼリー状内容物を持つ嚢腫が存在した.嚢腫は股関節包と連絡していた.嚢腫切除により欠損した動脈壁を自家静脈でパッチ縫合した.術後動脈造影で充分な拡張が得られており,下肢血行も改善した.動脈外膜嚢腫の発生原因について,いくつかの仮説がある.この症例の嚢腫は股関節包と繋がり,組織学的に滑膜嚢腫に類似しており,滑膜嚢腫起源説を強く支持する.

キーワード
動脈外膜囊腫, 外腸骨動脈, 滑膜囊腫


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