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日外会誌. 92(4): 448-452, 1991


原著

肝門部悪性腫瘍による閉塞性黄疸症例に併発した胆管炎とその対策

名古屋大学 医学部第1外科

弥政 晋輔 , 二村 雄次 , 神谷 順一 , 前田 正司 , 近藤 哲 , 安井 章裕 , 塩野谷 恵彦

(1990年4月21日受付)

I.内容要旨
経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)の施行された肝門部悪性腫瘍による閉塞性黄疸症例60例を対象とし,初回PTCD後の急性胆管炎(AC)および区域性の急性閉塞性化膿性胆管炎(S-AOSC)について臨床的検討を行った.胆管炎は12例(AC 9例,S-AOSC 3例)に認め,その発症頻度は20%であった.腫瘍に対して肝切除の施行された胆管炎症例は9例(AC 6例,S-AOSC 3例)であった.これらの術前治療としては,抗生剤などの保存的治療で胆管炎をコントロールできたものは2例のみであった.5例はPTCDの追加や,ガイドワイヤーを用いて非ドレナージ領域へのPTCDカテーテルの誘導を必要とした.さらに2例はPTCDの工夫にもかかわらず胆管炎症状が改善しないS-AOSC症例で,感染巣除去も目的とした肝切除を準緊急的に施行した.胆管炎症例と非胆管炎症例の手術切除率,術後合併症,手術死亡率の比較では,両群間に差を認めなかった.以上より,肝門部悪性腫瘍による閉塞性黄疸症例では胆管炎を発症しても,早急な対応と的確な手術時期の選択を行うことより,非胆管炎症例とほぼ同等の手術成績が得られると考えられた.

キーワード
急性閉塞性化膿性胆管炎, 急性胆管炎, 閉塞性黄疸, 経皮経肝胆管ドレナージ


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