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日外会誌. 92(2): 175-180, 1991


原著

ライソゾーム酵素動態からみた肝切除ラットの膵腺房細胞の脆弱性

京都大学 医学部第1外科

平野 鉄也 , 真辺 忠夫 , 戸部 隆吉

(1989年12月12日受付)

I.内容要旨
肝切除後の膵外分泌系の脆弱性をラットによる70%肝切除モデルを用いて検討した.
肝切除後4日目に膵water contentはsham-operation群,正常ラット群に比べ有意に増加した.腺房細胞よりのLDH discharge, lysosomal fragilityも,sham-operation群,正常ラット群に比べ有意に増加した.また肝切除後4日目にはsham-operation群,正常ラット群に比べzymogen pelletでのcathepsin B activityは有意に増加したが, lysosomal pellet中でのcathepsin B activityは有意に減少し,肝切除後早期には腺房細胞中でのIysosomal enzymeのredistributionが観察された.
肝切除後8日目にはほぼ前値に復した.
これらの結果,肝切除後早期の膵外分泌系にはlysosomal fragilityを介する細胞の脆弱性が存在することが明らかとなった.

キーワード
肝切除, 膵細胞, カテプシン B, ライソゾーム酵素


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