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日外会誌. 91(11): 1715-1719, 1990


原著

肝内結石を合併した術後性胆管狭窄症例の検討

名古屋大学 医学部第1外科

山本 英夫 , 二村 雄次 , 早川 直和 , 神谷 順一 , 塩野谷 恵彦

(1989年8月9日受付)

I.内容要旨
1976年1月より1988年12月までに教室で経験した肝内結石症は99例であったが,このうち肝内結石症を合併した術後性胆管狭窄例は8例であった.狭窄部位は胆管空腸吻合部5例,胆管十二指腸吻合部,肝門部胆管,総肝管(Tチューブ縫合部)が1例ずつで,6例が吻合部であった.結石の成分はビリルビンカルシウムが主であった.Roux-en-Yによらない胆管空腸吻合(1例),縫合不全(5例)が胆管狭窄の原因と思われた.治療は結石にはPTCSによる切石,狭窄には胆管空腸再吻合1例,PTCSによる拡張術5例(ビッグテイル型シリコンカテーテルによる内瘻化3例,内外瘻のみ2例)に行った.転帰はPTCSで拡張術ができなかった2例は不幸の転帰をとった.拡張術5例のうち3例は再発なく社会復帰している.2例は内瘻化カテーテルが逸脱・閉塞したためPTCS下に抜去した.しかし吻合部狭窄は改善され,この方法は難治性良性胆管狭窄に対して有用であると思われる.

キーワード
術後性胆管狭窄, 胆管吻合部狭窄, 肝内結石


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