[書誌情報] [全文PDF] (767KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 91(7): 910-913, 1990


症例報告

甲状腺癌の腰椎転移症例の一手術治験例
ー放射性ヨード療法と腰椎動脈塞栓術の併用ー

市立泉佐野病院 外科
*) 大阪大学 医学部第1外科

角村 純一 , 中川 公彦 , 河村 純 , 高橋 英治 , 田山 雅雄 , 森友 猛 , 宮田 正彦*)

(1989年8月16日受付)

I.内容要旨
症例は82歳の女性で,甲状腺濾胞癌の第四腰椎転移症例である.頸部の局所症状は認められなかったが,脊髄神経の圧迫症状を認めた.外照射療法は無効であったため,放射性ヨード療法の効果を期待して甲状腺全摘術を行った.術後上昇した甲状腺刺激ホルモンによる腰椎転移巣の増大から,不可逆的な脊髄損傷を起こす恐れがあった.そこで内照射療法を待つ間に,転移巣を栄養する腰椎動脈の塞栓術を施行した.その結果,腫瘍の著明な縮小が得られ,腰痛や下肢のしびれは消失した.2ヵ月後に131I 120mCiによる内照射療法を無事施行し,さらに腫瘍の縮小を認めた.

キーワード
腰椎転移性甲状腺癌, 動脈塞栓術, 放射性ヨード療法


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。